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東京外大教員の本

dm_publication2018年以降に刊行された東京外国語大学教員の図書や本学研究プロジェクトの成果出版図書を紹介します。

▶︎東京外国語大学教員へのお願い

| 2019年度


Routledge Handbook of Japanese Sociolinguistics

19080101
Patrick Heinrich & Yumiko Ohara 編
Routledge 2019年6月刊行

内容の紹介:(出版社HPより)
Presenting new approaches and results previously inaccessible in English, the Routledge Handbook of Japanese Sociolinguistics provides an insight into the language and society of contemporary Japan from a fresh perspective.
While it was once believed that Japan was a linguistically homogeneous country, research over the past two decades has shown Japan to be a multilingual and sociolinguistically diversifying country. Building on this approach, the contributors to this handbook take this further, combining Japanese and western approaches alike and producing research which is relevant to twenty-first century societies. Organised into five parts, the sections covered include: The languages and languagevarieties of Japan. The multilingual ecology. Variation, style and interaction. Language problems and language planning. Research overviews.
With contributions from across the field of Japanese sociolinguistics, this handbook will prove very useful for students and scholars of Japanese Studies, as well as sociolinguists more generally.

執筆者のコメント:阿部新(大学院国際日本学研究院准教授)
複数の方言の話者が接触することで生まれる言語変種(Koine=コイネー)とその形成(Koineization)について,日本語についてのこれまでの研究のレビューを1章執筆しました。日本語の方言接触の現場を「コイネーが生まれる場」として扱った研究はそれほど多くありませんが,方言が接触するとどういうことが起こるのか,興味のある方はぜひご覧ください。ただ,現在の社会状況はこの本の原稿を書いたときよりも変化してきているように思います。例えば,通信機器やインターネット上のサービスがより便利なものになったことで,人々の他者との接触の現場はインターネット上に移ってきているかもしれません。また,一人の人が複数の言語変種を使い分けることが普通のことになっているので,使い分けによって方言が接触しにくくなってきているかもしれません。さらには,海外から日本に移り住む人たちが増えることで,これまで接したことがない日本語との接触が増えていくのかもしれません。どんな接触が起こるかは社会の動きに連動しており,個々人の意識や行動とも関係すると思います。改めて,興味の尽きないテーマだと感じています。


「満洲」に渡った朝鮮人たち ~写真でたどる記憶と痕跡~

19072901
李光平・金富子・中野敏男・橋本雄一・飯倉江里衣 編著
世織書房 2019年6月刊行

内容の紹介:帝国日本によって植民地化された朝鮮を離れ、植民地「満洲国」へ移動を余儀なくされた朝鮮人農民たちがいた。そのような時間とアジアの場所とは何であったのかを証言し、現代とつなげてくれるのが、これら移動した朝鮮の人々である。本書はそれを、肖像写真・体験証言・分析論考でトータルに記録し、分析・紹介する。

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ナチズムは再来するのか?―民主主義をめぐるヴァイマル共和国の教訓

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アンドレアス・ヴィルシングほか編、板橋拓己・小野寺拓也監訳
慶應義塾大学出版会 2019年6月刊行

内容の紹介:2015年の難民危機以降、ヨーロッパ各国では排外主義的なポピュリズムが台頭し、「民主主義の危機」などが叫ばれるようにもなっています。本書では、現在とヴァイマル共和国の状況が似ているとされるさまざまな様態を「ヴァイマル状況」と名付け、政治文化、メディア、政党システム、有権者、経済、国際環境、外国からのまなざしなど多面的な視点から、現在と当時を比較することはどこまで妥当なのかを、さまざまな専門家が検討しています。

監訳者のコメント:小野寺拓也(世界言語社会教育センター)
今年はヴァイマル共和国ができてからちょうど100年になります。
難民危機以降、世界のさまざまな国々で「民主主義の危機」が叫ばれるようになり、もしかすると私たちは、ナチ体制が成立する前の時期であるヴァイマル共和国と似たような状況にあるのではないかと感じる人たちが、増えてきています。
そんななかで本書では、現在の社会に対してヴァイマル共和国の経験からどのような教訓が得られるのか、はたまた得られないのかという問題を、さまざまな専門家が検討しています。
そもそも歴史とは一回限りの出来事ではないのだろうか、当時と今とでは時代状況が違いすぎるのではないだろうか、そんな時代と今を比較していったい何が得られるのだろうか・・・。さまざまな疑問が尽きることはありませんが、「歴史の教訓」という古くて新しい問題に関心がある方々に、是非読んでもらいたい一冊です。


夢と爆弾——サバルタンの表現と闘争

Print
友常 勉
航思社 2019年5月刊行

内容の紹介:(出版社HPより)
東アジア反日武装戦線、はだしのゲン、寄せ場労働者、被差別部落、アイヌ民族、在日、水俣病の患者たち……
近現代日本が抱える宿痾に対していかに闘い、何を失い、何を獲得・奪還したのか。当事者による様々な表現・言説の分析と革命の(不)可能性をめぐる考察。
【著者より】
世界の過半を占める「流動的下層労働者」は不断に叛乱し、富裕者を恐怖させている。「黙って」「わからぬように」「民衆に理解できるように」「事実行為で連帯する」闘争は彼ら・彼女らをそのつど結びつけている。足りないものがあるとすれば輝きである。私たちはその闘いをもっと資本との闘いに、生産行為の過程に向ければいい。輝かしい栄光をもって、「流動的下層労働者」はこうして顕現する。
――「流動的‐下層‐労働者」より


共同の力―1970~80年代の金武湾闘争とその生存思想―

19061301
上原こずえ
世織書房 2019年5月刊行

内容の紹介:「金武湾闘争」とは、1972年の施政権返還時の沖縄において推進されていた石油備蓄基地(Central Terminal Station : CTS)の建設とそれに伴う沖縄本島東海岸金武湾の埋立に対して組織された、反開発の抵抗運動である。
本書は、「金武湾を守る会」が組織した金武湾闘争を中心に、施政権返還に伴う経済開発への抵抗と、そのなかで表出した民衆の生存思想を浮き彫りにする。

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犬からみた人類史

犬からみた人類史(カバー)
大石高典・近藤祉秋・池田光穂編
勉誠出版 2019年5月刊行

内容の紹介:犬をめぐる刺激的な思考実験の旅!
人は最も身近なパートナーである犬と、どのようにして関係を築いてきたのか?進化生物学から、文化人類学、民俗学、考古学、実際の狩猟現場……、過去から未来まで、様々な角度からとらえた犬の目線で語られる、「犬好きの、犬好きのための、犬好きの執筆陣による」全く新しい人類史!!

編者のコメント:大石高典(現代アフリカ地域研究センター/講師)
アフリカ、内陸アラスカ、中米をフィールドにする人類学者3人が、20人の共同研究者と議論を重ねながら、犬についての本を作りました。地球上に遍在する犬に着目することで、共生関係を築いてきた「人」についてはもちろん、環境、近代、実存について多角的に掘り下げる内容になっています。犬と人の過去、現在をよりどころにして展開される未来についての思考実験には、ぜひ多くの読者の方に参加していただけたらと願っています。


ダイアローグのことばとモノローグのことば――ヤクビンスキー論から読み解くバフチンの対話理論

19060301田島充士編著
福村出版 2019年4月刊行

内容の紹介:本書は,心理学研究においても引用されることが多い,1920年代以降にロシア(旧ソ連)で活躍した文芸学者・バフチンのダイアローグ論を実践的に読み解くことを目的としている。
_本書の目玉の一つは,バフチンのダイアローグ論にかなり影響を与えていたといわれる言語学者・ヤクビンスキーの論文『ダイアローグのことばについて』(1923年出版)の,日本初の完全訳を収録していることにある。ダイアローグを論じるバフチンの主要な著作には,ヤクビンスキーの論が引用されているとおぼしき痕跡がかなり認められる。しかし『ダイアローグのことばについて』の内容を知らない多くの読者にとって,本論文を読んでいることを前提に書かれたかのように思われるこれらのバフチンの抽象的なテキストを読解することは,これまで困難であった。しかし本論文に目を通すことで,これまで不明確であったバフチンのテキストの具体的な解釈像が見えてくるかもしれない。
_本書はこのヤクビンスキー論文の邦訳とその解説の他,バフチンがダイアローグ論を展開する上で参照・引用した論文や文学作品における議論,またこれらのテキストに掲載された様々なコミュニケーション事例を紹介し,具体的な社会実践における相互交流のあり方を考える際の理論的枠組みを提供するものである。

編著者のコメント:本書は日本におけるバフチン研究の権威である桑野隆氏(元早稲田大学)と,本学ロシア語専攻出身(しかも私と同期)の朝妻恵里子氏(慶應義塾大学)の協力を得て執筆を行ったものです。ここ10年ほど,私はバフチンの書斎の書棚をイメージし,彼の論文に引用されているテキストを収集しては読むという作業を進めてきました。その中で出会ったヤクビンスキー『ダイアローグのことばについて』は,バフチンが意識したと思われるコミュニケーション事例が豊富に掲載されていることもあり,もっともインパクトの大きな資料の一つでした。バフチンの著作には,確かに読者独自の解釈を拒絶するかのような手強さがありますが,同時に,しびれるほどの簡潔で美しい世界観を感じとることもできます。バフチンが彼の世界観を構築した際に引用したと思われる,多くの社会実践事例を紹介することで,読者が自分自身の「ダイアローグ観」を創造する際のお手伝いができればとの思いで,この本を企画しました。
_理論的な話が中心ではありますが,著者が実際に取り組んできた学校教育においてみられる様々な問題も紹介し,その解決策を考える上で,これらの理論的視座が具体的にどのように役立ち得るのかを論じることもしています。


Visualising multilingual lives: More than words

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P. Kalaja & S. Melo-Pfeifer (編)
Multilingual Matters 2019年4月刊行

内容の紹介:本書では、アジア、オーストラリア、ヨーロッパ、南米の言語教育学研究者による、写真、絵、動画などの視覚的媒体を活用した革新的な15の研究を通じて、マルチリンガルの自己、言語学習、言語教育にまつわる多様な問題を掘り下げている。

書評(出版社HPより):
A path-breaking book for multilingual classrooms in the 21st century! The 15 chapters, expertly edited by Kalaja and Melo-Pfeifer, offer cutting-edge research on multilingual subjects and a range of truly innovative pedagogies for teachers. This book will inspire researchers investigating the role of visual literacies in multilingual education and will transform the experience of teachers committed to a deeper understanding of the multilingual lives of newcomer students and multilingual learners worldwide. This volume is bound to become a major reference in the fields of language education and teacher education.― Christine Hélot, University of Strasbourg, France

執筆者のコメント:海野多枝(大学院国際日本学研究院教授)
オーストラリア・マッコーリー大学のPhil Benson教授と共同で、第10章Study abroad in pictures: Photographs as data in life-story researchを執筆しました。日本に留学中の日本語学習者の事例を通じて、留学中の第二言語アイデンティティの問題を取り上げ、写真データとナラティブの分析を行いました。本書全体を通じて、近年、応用言語学の分野でうかがわれるmultilingual, narrativeへの2つの方向転換に加えて、3つめのvisualへの方向転換の統合を試みています。第二言語習得、言語教育学、マルチリンガリズム、あるいはvisual methodsなどに関心のある方々にお読みいただければと思います。

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|2018年度


アフリカ漁民文化論――水域環境保全の視座

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今井一郎編
春風社 2019年3月刊行

内容の紹介:(出版社HPより: http://www.shumpu.com/portfolio/721/ )
経済活動が活発化するなかで、いかに持続可能な漁業を行うことができるか?内水面(河川・湖)から海面におけるアフリカ漁民の多様な実態を、知恵や技術、経済活動、資源管理の側面から明らかにする。アフリカの水辺に暮らす人々の民族誌。

執筆者のコメント:第6章 大石高典(現代アフリカ地域研究センター講師)
アフリカの農耕民、狩猟民、牧畜民、都市民、商業民についての研究については、多くの本が出ていますがアフリカの漁民や漁師の世界についてはまだまだ研究がすくなく、体系化が遅れている状況です。そんななかで、本書はアフリカ各地の海、湖沼、河川での漁業を網羅しつつ、「アフリカ漁民」にはどんな共通点があるのかないのか、どんな現代的課題を抱えているのか、を複眼的に探っています。私はコンゴ共和国在住の共同研究者・萩原幹子さんと一緒に、コンゴ川の漁業と都市化の関係について市場に着目して分析した論考「市場のアフリカ漁民たち」を寄稿しました。


ニューエクスプレスプラス ウルドゥー語《CD付》

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萩田博・萬宮健策
白水社 2019年3月刊行

内容の紹介: インドの公用語にしてパキスタンの国語。会話から文法を一冊で学べる入門書。

著者のコメント:萬宮健策(大学院総合国際学研究院)
日本では、まだまだ認知度が低いウルドゥー語ですが、多民族多言語社会である、インドやパキスタンを中心とした南アジアにおいて、人と人をつなぐ連接言語(link language)の役割を果たす、非常に重要な言語でもあります。ウルドゥー語を理解できる人は、世界中に少なく見積もっても4億人を数えます。あなたもその社会や文化に触れてみませんか。

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ハバナ零年

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カルラ・スアレス(著)/久野 量一(訳)
共和国 2019年2月刊行

内容の紹介:カオス理論とフラクタルを用いて、電話がキューバで発明された事実を証明せよ!?
1993年、深刻な経済危機下のキューバ。数学教師のジュリアは、世界で最初の電話がハバナで発明されたことを証明する、イタリア人発明家アントニオ・メウッチの重要な自筆文書の存在を知る。その文書をめぐって、作家、ジャーナリスト、そして元恋人までが虚々実々の駆け引きと恋を展開するが・・・。
キューバ出身の新鋭作家が、数学とミステリーの要素を巧みに織り込んで挑んだ代表作。
[2012年カルベ・ド・ラ・カリブ賞受賞作]


アムド・チベット語文法

book190408_1
海老原志穂
ひつじ書房 2019年2月刊行

内容の紹介:東北チベット(中国青海省など)で話されるアムド・チベット語についての本邦初の文法書。同言語が話されている地域や話者、類型的特徴、周辺諸言語との言語接触に関する概況をはじめ、音韻・音声、形態的・統語的特徴、文法範疇、敬語や民俗語彙などの語彙的特徴を豊富な例文とともに網羅的にまとめ、チベット語に特徴的な文法現象である、証拠性(エヴィデンシャリティ)とウチ・ソトについても詳細に記述された言語学的研究。

著者のコメント: アムド・チベット語は中国青海省、甘粛省、四川省北部で話されているチベット諸語のひとつです。話者は約100万人います。アムドとは東北チベットをさしますが、この地域は近年、文学者や映画監督、研究者を多く輩出していることでも知られています。また、言語学の分野では言語接触などでも注目を集めています。本書はこの言語に興味をもった方にまず手にとってほしい一冊です。


[音声DL]つなげば話せる!ネイティブのパターン英作文(コーパス英会話シリーズ)

投野由紀夫
アスク出版 2019年2月刊行

内容の紹介: 話すための基礎を作る英作文トレーニング。


フランコフォンの世界――コーパスが明かすフランス語の多様性

シルヴァン・ドゥテほか編著、川口裕司・矢頭典枝・秋廣尚恵・杉山香織編訳
三省堂 2019年2月刊行

内容の紹介: 記述的な視点からさまざまなフランス語を音声つきで解説。フランス語の多様性を見渡す最新の書。


中世エジプトの土地制度とナイル灌漑

熊倉和歌子
東京大学出版会 2019年2月刊行

内容の紹介: 詳細な史料分析に基づき、エジプトにおける支配・被支配をめぐる統治体制の展開を明らかにする。


1)カンボジアの行政(フランス保護国時代のカンボジア, 第1分冊)、
2)ナガラワッタ(フランス保護国時代のカンボジア, 第2分冊)

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1)A. シルベストル著、坂本恭章訳、上田広美・岡田知子編
2)坂本恭章・岡田知子訳、上田広美編
めこん 2019年1月刊行

内容の紹介:本書は、A.シルベストル(1879-1937)による『カンボジアの行政』(1920)、20世紀初頭のカンボジア語紙『ナガラワッタ』の2冊組である。
『カンボジアの行政』の原著者シルベストルは、カンボジアの高等弁務官、インドシナ総督代行を歴任、自ら行政学校でも教鞭をとった。本書の底本のクメール語版は、カンボジアの国立公文書館、およびフランス、ヴァンセンヌの国防省歴史資料部に所蔵されている。このテキストで行政の在り方を学び、その後、クメール政府の官員となった多くのクメール人が『ナガラワッタ』の読者や支持者となったと考えられる。本訳書『カンボジアの行政』では、訳者による丁寧な訳注があり、巻末には語彙集が付けられている。
『ナガラワッタ』は、1936年12月から1942年7月までカンボジアで発行されていた民間のクメール語新聞である。新聞紙名の「ナガラワッタ」は、クメール民族の象徴ともいえるアンコール・ワットを意味する。本訳書では底本としたマイクロフィルム(ACRPPが1975年に作成した、全2巻)のうちの第1巻に収録されている第8号(1937年2月6日発行)から第149号(1939年12月30日)に掲載されているほぼすべての構成要素(国内ニュース、海外ニュース、社説、投書欄、物価一覧、昇格・合格者一覧、広告欄など)を翻訳したものである。また、訳注には、背景にどのような事情があるのか、といった解説や、『カンボジアの行政』との関連についても書かれている。

編者のコメント: 本書は、東京外国語大学名誉教授である坂本恭章先生が、カンボジア研究はもとより、東南アジア研究の発展を願って、翻訳し、私財を投じて出版を実現させたものです。『カンボジアの行政』の底本となったクメール語版テキストは、現在とは異なる正書法で表記も統一されていません。また、マイクロフィルム化されたナガラワッタ紙は、活字の摩滅、紙の折り目による文字列の消失などにより、文字そのものが判読困難な箇所が多くみられます。これらの資料を利用するには、非常に高度な読解力が不可欠です。本書は原文に忠実に訳してあるので、他の研究者も一次資料と同様に学術利用することができます。
本書は、坂本恭章先生の長年にわたる膨大な資料の収集およびその電算化、通時・共時両面からの言語研究、そして辞書編纂という学術研究成果の蓄積によっているといえます。
(編者:上田広美、岡田知子)


世界史リブレット081 ファン・ボイ・チャウ 民族独立を追い求めた開明的志士

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今井昭夫
山川出版社 2019年1月刊行

内容の紹介:20世紀初頭のベトナムで発生した日本留学運動である「東遊運動」の中心的人物であるファン・ボイ・チャウ(1867~1940)の評伝。

著者のコメント:本書では、「東遊運動」のみではなく、それ以降のファン・ボイ・チャウの思想・行動についても結構扱っています。東アジア的広がりのなかで、ファン・ボイ・チャウを通して20世紀前半のベトナム思想史・民族運動史に迫ろうと試みました。

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人生100年時代の教養が身に付くオックスフォードの学び方

岡田昭人
朝日新聞出版 2019年1月刊行

内容の紹介: 世界最高峰の「考え、実行する力」と、これからの日本人に必要な6つの力が身に付く真の教養の学び方を解説。


ツァーリと大衆――近代ロシアの読書の社会史

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巽由樹子
東京大学出版会 2019年1月刊行

内容の紹介: 読者の変遷がもたらす文化の変容こそが歴史の転換点につながることを明らかにし、近代ロシア像に再考をうながす。

著者のコメント:19世紀後半のロシアは、営利的な総合出版社が、今で言う写真週刊誌、オカルト誌、女性誌などの原型にあたる娯楽的な絵入り雑誌を刊行し、それを読む大衆が現れた時代でした。この「読書するミドルクラス」は、かつてのソ連時代の階級的な歴史観からは注目されてきませんでしたが、実はその存在が皇帝、インテリゲンツィヤ、民衆を軸とした近代ロシアの文化と秩序を変容させ、革命に至る背景を作ったのではないか、と論じた本です。

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ロシア正教古儀式派の歴史と文化

19060501坂本秀昭・中澤敦夫編著
明石書店 2019年1月刊行

内容の紹介: 一七世紀半ばのロシア正教の教会改革によりうまれた「古儀式派」に関する初めての概説書。(第12章担当:福嶋千穂)

執筆者のコメント:第12章 福嶋千穂(大学院総合国際学研究院/准教授) 西欧カトリック世界に分裂をもたらした宗教改革運動がロシアに直接波及することはありませんでしたが、17世紀半ばにはロシア正教会の中でも、総主教ニーコンの断行した改革をめぐって教会分裂(ラスコール)が生じました。
改革に抵抗した人々は、ニーコン以前のロシアの信仰形態をかたくなに守り、古儀式派を形成することになります。古い教会文化を守った点で「ロシアの旧教徒」であった彼らですが、その勤勉さで黎明期のロシアの資本主義に大きく貢献したことから、西欧の「新教徒」との類似性を指摘されることもあります。また、かつてロシアで迫害対象であったことから、世界各地に移住し在外コロニーを築いてきました。
本書は、様々な角度から古儀式派に関心を寄せてきた日本の研究者たち(とロシアの共同研究者)が、それぞれの専門を活かして執筆した原稿を持ち寄って出来上がりました。古儀式派についての格好の手引き書であるとともに、ロシア史・ロシア文化全般に関心のある読者にもおすすめします。


会津八一(コレクション日本歌人選68)

村尾誠一
笠間書院  2019年1月刊行

内容の紹介: 日本の歌の歴史に大きな足跡を残した代表的歌人の秀歌を、堪能できるように編んだアンソロジー。


21世紀、大転換期の国際社会――いま何が起こっているのか?

羽場久美子編
法律文化社 2019年1月刊行

内容の紹介: 研究者とジャーナリストたちが学生や市民向けにやさしく書きおろした、国際社会論の入門書。(第2章担当:若松邦弘)


日本語教育のミカタ 対話で具体的に学ぶ新しい教科書

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荒川洋平
凡人社 2018年12月刊行

内容の紹介: 「具体的な日本語の教え方」と「教える上で大切な日本語の知識」を他のどの本よりもわかりやすく提示する教科書。 ウェブサイトで公開する「著者による日本語の授業動画」で、実際の授業をより具体的にイメージすることができます。 本文は教師と3人の学生によるやり取りで構成され、登場人物とともに楽しく日本語教育を学んでいくことができます。

著者のコメント:ボランティアで地域の日本語教育支援に携わる方や日本語教育を専攻としないけど興味がある学生にぴったりの1冊ができました。外国人日本語教師のロン先生と、日本語教育になじみのない3人の学生との楽しい対話の中で、具体的な日本語の教え方や基礎知識がどんどん頭に入ってきます。動画もあるので「読んで・見て・笑って・わかる」、1冊で4倍お得な日本語教育入門書の決定版です。


ウンベルト・エーコの世界文明講義

book190509_1ウンベルト・エーコ著、和田忠彦監訳、石田聖子・小久保真理江・柴田瑞枝・ 高田和広・横田さやか訳
河出書房新社 2018年11月刊行

内容の紹介:(出版社HPより:http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309207520/
現代屈指の知性が、思想、哲学、文学から、メディア、サブカルチャーまで縦横無尽に語った文明の秘密。「見えないもの」「陰謀」「絶対と相対」「炎は美しい」など。図版136点。

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プリンストン大学図書館所蔵西夏文妙法蓮華経 写真版及びテキストの研究
Tangut Version of the Lotus Sutra in the Collection of Princeton University Library: Facsimile, Text and Linguistic Studies

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荒川慎太郎
創価学会・東洋哲学研究所 2018年11月刊行

内容の紹介: プリンスン大学図書館に所蔵される西夏文『法華経』第4巻全文をテキスト化し、全文の訳・注・索引を作成した。文献の解題と言語学的研究部分も加え、この部分は英訳も持つ。巻末に全文の、美麗なカラー図版を挙げた。

著者のコメント: 本書は平成28~30年度日本学術振興会科学研究費補助金・基盤研究(B)「『方向接辞』からみたチベット・ビルマ語系言語の諸相」(代表:荒川慎太郎),及び平成28~30年度戦略的国際研究交流推進事業費補助金・頭脳循環を加速する戦略的国際研究ネットワーク推進プログラム「危機言語・少数言語を中心とする循環型調査研究のための機動的国際ネットワーク構築」などの成果です。


カタルーニャでいま起きていること――古くて新しい、独立をめぐる葛藤

エドゥアルド・ メンドサ著、立石博高訳
明石書店 2018年11月刊行

内容の紹介: カタルーニャ人作家メンドサが、排外主義が拡がる祖国、そして世界に警鐘を鳴らすエッセイ。


現代イランの社会と政治――つながる人びとと国家の挑戦

山岸智子編著
明石書店 2018年11月刊行

内容の紹介: ネットワーク型社会運動の系譜と、その政治化における諸問題を学際的アプローチで捉え論考する。(第2章担当:松永泰行)


「明治一五〇年」で考える――近代移行期の社会と空間

ダニエル・V・ボツマン・塚田孝・吉田信之編
山川出版社 2018年11月刊行

内容の紹介: 「明治150年」。維新の元勲や偉人の顕彰ばかりが強調される中、明治維新期の意味を、社会史の深みから捉えなおす。(第9章担当:吉田ゆり子)


1861年 改革と試練の時代(歴史の転換期9)

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小松久男編
山川出版社 2018年10月刊行

内容の紹介: 本書は、世界史の大きな転換期となった年代を取り上げて、そのとき各地域の人々はどのように生き、その時代をどのように見ていたのかを具体的な事例に即して考えてみようというシリーズの一冊です。1861年といえば、中国では清朝が英仏軍の北京進撃や太平天国の攻勢という危機に直面し、ロシアでは農奴解放をはじめとする大改革が進行する、オスマン帝国ではやがて憲法を起草する官僚ミドハト・パシャが地方行政で頭角を現し、日本ではロシア軍艦が対馬に居座って国際問題へと展開する、イタリアではようやく国家の統一がなると同時に多くのイタリア人が海外に移住するという、さまざまな事態が起こっていました。読者は1861年以降の展開を知っているわけですが、いったんこの年の各地にタイムスリップして、同時代の人々の思い、時代の空気にふれることができます。

執筆者のコメント:小松久男(世界言語社会教育センター特別教授)
私が担当した総論では、この時期にロシアの外交官として活躍したイグナチエフに注目しました。1861年前後、彼は対中央アジア政策の立案に関与したほか、清朝と英仏の間の仲介の見返りに露清間の北京条約を締結して沿海州を獲得、駐オスマン帝国大使としては改革派のミドハト・パシャと対抗、さらに樺太の国境画定をめぐって幕府の使節と交渉した人物であり、まさに英露間のグレートゲームの一方の主役と言えるでしょう。


フランツ・ローゼンツヴァイク 生と啓示の哲学

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丸山空大
慶應義塾大学出版会 2018年10月刊行

内容の紹介: 43歳で他界したドイツのユダヤ人思想家、ローゼンツヴァイク。彼の若年期から晩年までの思想的展開とその到達点を明らかにする。初期におけるドイツ近代史への関心、キリスト教への改宗の断念、主著『救済の星』における独自の救済史的思想の展開―。さらに後期思想における、一人ひとりの日常の生と宗教の関係の追究、自ら力を傾けたユダヤ教の宗教教育の実践等から、彼の思考の深化と全体像を解明する。

著者のコメント: これまで行ってきたローゼンツヴァイク研究の総決算です。未公刊資料も用い、彼の思想の発展と展開を丁寧にあとづけました。20世紀初頭のドイツユダヤ人社会の中心人物でもあった彼の目を通して、当時のドイツ文化やユダヤ人社会の状況が明らかになるとともに、ひとりの近代的西洋知識人が宗教へと接近していく様子が克明にたどられます。お手に取っていただければ幸いです。


植民地遊廓――日本の軍隊と朝鮮半島

金富子・金栄著
吉川弘文館 2018年10月刊行

内容の紹介: 遊廓が浸透した過程を、南北地域に分けて考察。史資料にない娼妓の姿を、オーラルヒストリーなどから掘り起こす。


わたし8歳、職業、家事使用人。――世界の児童労働者1億5200万人の1人

日下部尚徳
合同出版 2018年10月刊行

内容の紹介: 現地でのフィールドワークを通じて、家事使用人として働く子どもたちや雇う側のリアルな声を採録。


人種主義の歴史

ジョージ・M・フレドリクソン著、李孝徳訳
みすず書房 2018年10月刊行

内容の紹介: 人間の差異は出自によるのか、文化によるのか。人種主義の歴史を簡明に描きだした記念碑的著作。


近代中央アジアの群像―革命の世代の軌跡(世界史リブレット人 88)

book181213_2

小松久男
山川出版社 2018年9月刊行

内容の紹介: 20世紀の初頭、ロシア、イラン、オスマン帝国に起こった一連の革命は、ロシア統治下のムスリム知識人に大きなインパクトを与えました。そして1917年のロシア革命を機に、彼らは新方式学校による教育を中心とした改革運動から革命運動へと突き進んでいきます。本書は、この運動の先頭に立った4人の人物の軌跡に光をあてています。彼らの多くは非業の死を遂げましたが、ソ連解体後は再評価が進んでいます。表紙にあるサマルカンドの初等学校の生徒たちも、それぞれに激動の時代を生きたことでしょう。

著者のコメント: 中央アジアの近現代史は、日本ではまだあまり知られていませんが、本書で取り上げたベフブーディー、フィトラト、ヴァリドフ、ルスクロフの生涯をたどると、革命の時代の劇的な変容の光と影が浮かび上がってきます。中央アジアが経験した大きな変革を知るための一助となれば幸いです。


地球共同体の国際法

松隈潤
国際書院 2018年9月刊行

内容の紹介: 「地球共同体の価値・利益」を保護する法の発展という現象に着目し、「地球共同体の国際法」の可能性を追う。


スペイン美術史入門  積層する美と歴史の物語

book190509_2.jpg宗大髙 保二郎監修・著、 久米順子・松原典子・豊田唯・松田健児著
NHK出版 2018年8月刊行

内容の紹介:(出版社HPより:https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000912512018.html
スペイン美術のスペイン的特質を解き明かす、通史としてのスペイン美術史の試み

先史時代のアルタミラ洞窟壁画から、ローマ時代、イスラームとレコンキスタの時代、絶対王政の時代を経て、ナポレオン支配とスペイン内戦、そして≪ゲルニカ≫の帰還まで。スペインという国の歴史をたどりつつ、時代時代の美術の特質を浮き彫りにする。「天才」に代弁させることで事足れりとしてきたスペイン美術史を書き換え、スペインらしさの源泉を探る。

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〈焼跡〉の戦後空間論

book190509_3.jpg逆井聡人
青弓社 2018年8月刊行

内容の紹介:(出版社HPより:https://www.seikyusha.co.jp/bd/isbn/9784787234391/
焼跡や闇市を表象する小説や映画、批評を検証することを通して、私たちがもつ戦後日本という歴史認識や国土イメージをあぶり出す。「戦後日本」という枠組みから「冷戦期日本」という歴史認識へのパラダイムシフトを提起する挑発的な日本論。

著者のコメント:本書は、連合軍占領下の日本における都市空間の表象を扱ったものです。特にこの敗戦直後という時代を語る際に頻繁に登場する「焼跡」・「闇市」という空間に焦点をあてて論じました。これまで長い間「焼跡」・「闇市」は、「戦後日本」の始まりの空間として参照されてきました。しかしながらよくよく考えてみると、どちらも1945年8月15日に突如として現れた空間ではありません。「焼跡」は米軍の戦略爆撃の被害の跡ですし、「闇市」は一九三九年に始まる統制経済の副産物です。この空間を見れば見るほど、それ以前からの断絶よりも、連続性の方が見えてきます。しかし、当時から現在までのメディアを見渡してみると、この空間の連続性への言及は周到に回避されてきたことが分かります。では、その不可視化された連続性を暴露することで何が現れるのでしょうか。それは、日本が「戦後」と呼ばれる時代の間、絶え間なく戦争に関わってきたという事実です。したがって本書は、文学や映画、批評言説を対象にしながら「戦後日本」と引き続く戦争(=冷戦)との関係を考察しました。お手にとっていただければ幸いです。


動詞の「時制」がよくわかる英文法談義

book180824_1宗宮喜代子、糸川健、野元裕樹
大修館書店 2018年8月刊行

内容の紹介: 巷の英語学習教材で「時制」と呼ばれる項目について、大学生とその指導教員の対話を通じて理解を深めていきます。willとbe going toとbe -ingの表す意味の違い、時制と相の区別、i’m lovin’ itの表現効果、仮定法などのトピックが扱われています。また、各章に続くコラムでは、英語についての対話に関連して、マレー語(マレーシア語)、インド英語、ヒンディー語、アメリカ先住民語、タガログ語(フィリピン語)、日本語の時制・法・相について紹介されており、標準英語以外の世界の言語にも触れられます。

著者のコメント:本学名誉教授、本学大学院卒業生、本学現役教員による共著です。高校生から一般の英語学習者、英語教員を主な読者に想定して執筆しました。複雑な文法項目を過剰な単純化なしに正確に伝えるために、対話形式にしました。そして、世界の27言語の専攻を持つ本学の関係者による書籍として、英語の学習から発展して、世界の多様な言語・文化にも関心が広がるようになっています。


世界のなかの子規・漱石と近代日本

OL【カバー】世界のなかの子規・漱石と近代日柴田勝二編
勉誠出版 2018年8月刊行

内容の紹介:(出版社HPより:http://bensei.jp/index.php?main_page=product_book_info&products_id=100906
生誕一五〇年を超えた二人の文学者の交流・相互の影響関係と、同時代の近代日本のありようを捉えなおす―

正岡子規は、写生や俳句をどのような表現手法として考え、確立させ、創作を続けたのか。そしてそれは、夏目漱石にどのような影響を与えたのかを詳細に考察。
同時に、子規・漱石をはじめとした日本文学の翻訳状況や、世界からどのように読まれているのかの考察、近代文学と近代史をつなぐ論考から、近代日本をも再考する。


ラテンアメリカ所得格差論――歴史的起源・グローバル化・社会政策(アジア環太平洋研究叢書 第2巻)

190624_1浜口伸明編
国際書院 2018年8月刊行

内容の紹介: ラテンアメリカが抱える「構造的問題」としての所得格差を再検討し、政府と市民社会との連携・創造的発展を模索する。(第3章担当:内山直子)

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book190509_6.jpgニューエクスプレスプラス ベンガル語

丹羽京子
青弓社 2018年8月刊行

内容の紹介:(出版社HPより:https://www.hakusuisha.co.jp/book/b372457.html
ベンガル語はバングラデシュの国語であり、インド・西ベンガル州の公用語。ノーベル賞詩人タゴールを生み出した伝統を持つ言語。

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アメリカとヨーロッパ――揺れる同盟の80年

渡邊啓貴
中央公論新社 2018年8月刊行

内容の紹介: さまざまな思惑が交錯し、複雑な軌跡を描いた米欧関係。その歴史を同盟という観点を軸に捉え、外交を考える。


コミュニティ通訳【新装版】――多文化共生社会のコミュニケーション

水野真木子・内藤稔
みすず書房 2018年7月刊行

内容の紹介: 医療通訳・司法通訳・行政通訳を3本の柱に、全体像を建設的に提示する初の概論。


ニューエクスプレスプラス ラテン語

book190509_5.jpg岩崎務
白水社 2018年7月刊行

内容の紹介:(出版社HPより:https://www.hakusuisha.co.jp/book/b370899.html
日常的な会話文からラテン語の文法を学びましょう。凱旋式や公衆浴場など、古代ローマの情景が音声つきで蘇ります。名言集も収録。

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島の「重さ」をめぐって―キューバの文学を読む

book190509_7久野量一
松籟社 2018年6月刊行

内容の紹介:(出版社HP より:http://shoraisha.com/main/book/9784879843647.html
キューバの芸術においては、二つの潮流、二つの詩学がある。

――キューバは世界史上の磁場であり、特別な存在である、ゆえにこの島は「重い」。 ――キューバは曖昧で不明瞭な存在だ、言わばこの島には「重さがない」。

自らのアイデンティティを自明視する「肯定の詩学」と、それを疑う「否定の詩学」。
相反する二つの詩学を両輪に走り続けてきたキューバの文学を、複眼的な視線で追う。


アジアの戦争と記憶 二〇世紀の歴史と文学

book190509_8.jpg岩崎稔・成田龍一・島村輝編
勉誠出版 2018年6月刊行

内容の紹介:(出版社HP より:http://bensei.jp/index.php?main_page=product_book_info&products_id=100884
東アジアの新たなるコモンとは何か―

二つの世界大戦から、インド独立運動、朝鮮戦争、ベトナム戦争、沖縄返還など、アジア激動の20世紀を捉え直す。
作家や知識人が残した言葉から、友好と対立が入り乱れる戦後の日中韓関係史を整理、戦後に忘却された東アジアの歴史を浮かびあがらせる。
ナショナリズムとグローバリズムという二つの普遍主義を問い直し、政治的対立を超えた、これからの連帯の可能性を探る。

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語彙ドン![vol.1]――大学で学ぶためのことば

石澤徹・岩下真澄・伊志嶺安博ほか著
くろしお出版 2018年6月刊行

内容の紹介: 豊富な例文→ゲーム→読み物、楽しく繰り返し学習。どんな専門・分野でも役立つことば。


9条「加憲」案への対抗軸を探る

伊勢﨑賢治・伊藤真・松竹伸幸・山尾志桜里著
信山社 2018年6月刊行

内容の紹介: 伝統的な護憲派、新九条論者、改憲的護憲や立憲的改憲の提唱者が相互に相手を批判しつつも、協力の道を探った。


変化型で見るチェコ語単語集3000

金指久美子編著
大学書林 2018年6月刊行

内容の紹介: 基礎的な三〇〇〇語の語形変化を変化型で覚えやすくまとめた単語集。


日本国憲法ドリル

篠田英朗監修
辰巳出版 2018年6月刊行

内容の紹介: 日本国憲法に関するクイズを様々な形式で掲載。クイズで楽しく学べる学習ドリル。


ウズベキスタンを知るための60章

book181213_1

帯谷知可編
明石書店 2018年5月刊行

内容の紹介: 本書は、明石書店のエリア・スタディーズ・シリーズの一つで、中央アジアの国ウズベキスタンの自然と歴史、人々の暮らしと社会、文化・芸術、政治・経済・国際関係、そして日本とのかかわりに関する60章の解説から構成されています。中央アジアのオアシス地域に継承されてきた文化、動態に満ちた歴史、ソ連から独立してほぼ四半世紀を過ぎたウズベキスタンの変容と課題、こうしたテーマについて知りたいという読者には絶好の入門書と言えます。

執筆者のコメント:小松久男(世界言語社会教育センター特別教授)
ウズベキスタンに関する最新の情報がまとめられており、どこからでも読むことができます。私は近現代史に関する「ロシア革命とジャディード知識人―啓蒙・改革から革命へ」、「ソ連の記憶」、「ウズベキスタンのイスラーム―悠久の伝統と現代」、「宗教と政治―復興するイスラームとどう向き合うか」の4つの章を担当しました。


ブラジル映画史講義――混血する大地の美学

今福龍太著、金子遊編
現代企画室 2018年5月刊行

内容の紹介: 「ブラジル映画」を育んだ精神性、その特異な集団的美学がよってたつ大地の歴史・風土・文化を縦横無尽に探究する。


はじめて学ぶ文化人類学:人物・古典・名著からの誘い

book180403_2岸上伸啓(編)
ミネルヴァ書房  
2018年4月刊行

内容の紹介:(出版社HPより:http://www.minervashobo.co.jp/book/b352145.html
19世紀後半から現在まで150年に及ぶ文化人類学の展開の軌跡を、主要な研究者の生涯と業績・著作に焦点を当て読み解く。文化人類学の初学者にも最適な入門テキスト。古典から最新の研究動向までカバーし、人類学の大きな学問潮流を捉える道案内(ガイド)を提供する。

執筆者のコメント:大石高典(現代アフリカ地域研究センター講師)
古典から最先端の研究動向まで、文化人類学の研究史を押さえるのに取っつきやすい入門書になっていると思います。私(大石)は、環境人類学の章を担当しました。本学からは、ほかに真島一郎先生(国際社会学部)、吉田ゆか子先生(AA研)、山本真鳥先生(本学非常勤講師/法政大学)が寄稿されています。


ショスタコーヴィチとスターリン

book190509_9ソロモン・ヴォルコフ著、亀山郁夫・梅津紀雄・前田和泉・古川哲訳
大学出版部協会 2018年4月刊行

内容の紹介:(出版社HPより:http://www.ajup-net.com/bd/isbn978-4-7664-2499-7.html
天才芸術家と独裁者の奇妙な「共犯」関係を暴きだす

ソヴィエト社会主義時代、独裁者スターリンにたいし抵抗とも服従ともいいがたい両義的な態度をとったショスタコーヴィチ。彼が生み出した作品もまた、時にプロパガンダ風であり、時に反体制的であるような二重性を帯びていた。
著者ヴォルコフは、ショスタコーヴィチ再評価の機運をつくった前著『ショスタコーヴィチの証言』刊行四半世紀を経て、歴史的裏付けをとりつつ、独自の手法により作曲家の実像にさらに迫ろうと試みている。本書では、内面的なジレンマを抱えながらも、スターリンと直接わたりあうショスタコーヴィチを、ロシア史上の独特の人格、聖愚者(ユローディヴィ)に見立て、権力者との対峙の仕方を詳細に分析しているのである。
スターリンは冷酷な顔をもつと同時に、芸術を愛する独裁者でもあった。しかし単に芸術家を庇護したわけではなく、彼らを国家的プロパガンダに利用し、弾圧した。パステルナーク、マンデリシターム、ブルガーコフ、エイゼンシュテイン、ゴーリキー、プロコーフィエフ……同時代の芸術家との関わりのなかで、ショスタコーヴィチは全体主義と芸術の相克をどのように乗り越えようとしたのか、スリリングに描き出していく。


中央ユーラシア史研究入門

book181214_1小松久男・荒川正晴・岡洋樹編
山川出版社 2018年4月刊行

内容の紹介:本書は、テュルクやモンゴルなどの騎馬遊牧民の活動で知られ、世界史の変動の震源地となった中央ユーラシアの歴史に関する内外の研究動向をまとめたものです。全9章からなり、第1章の「騎馬遊牧民の誕生と発展」から第9章の「帝政ロシア・ソ連時代およびソ連解体後」までの各章によって、広大かつ多彩な中央ユーラシア史の展開のほぼ全体をカバーしています。この一冊で、日本のみならず世界の研究者がこれまでどのような研究をしてきたかを一望することができます。そうすれば、これから新しい研究テーマを着想するのに役立つことでしょう。

執筆者のコメント:小松久男(世界言語社会教育センター特別教授)
この本は、これから中央ユーラシア史の研究に取り組みたいと考えている人、あるいは中央ユーラシア史研究の今を知りたいという人のために書かれています。これを手がかりに、中央ユーラシア史研究の大海に乗りだす人が増えてくれることを願っています。私は冒頭の総説を担当しました。


中国北方危機言語のドキュメンテーション: ヘジェン語/シベ語/ソロン語/ダグール語/シネヘン・ブリヤート語

book180416_1.jpg李林静・山越康裕・児倉徳和(共編)
(他に執筆者として風間伸次郎・山田洋平)

三元社  
2018年4月刊行

内容の紹介:本書は、中国北方(東北部&西北部)で使用されるツングース語族(ヘジェン語、ソロン語、シベ語)・モンゴル語族(ダグール語、シネヘン・ブリヤート語)のいくつかの言語のテキスト(言語資料)を原文・グロス・日本語訳で提示したものです。これによりその民話や語りから話者の世界観を知ることができるだけでなく、同時に言語構造も把握できるようになっています。

著者のコメント:少数言語を研究対象とする言語研究者が取り組んでいる研究に「言語の包括的記録(言語ドキュメンテーション)」があります。当該言語の音声を(とくに近年では映像とともに)記録し、情報を付与して加工・公開し、恒久的に保存しようという研究手法です。こうして蓄積される言語資料を文字化したものの一つがテキスト(言語資料)です。無文字言語で、なおかつ音韻・文法構造が解明されているとはいいがたい言語のテキストを成形するためには、当該言語の体系を把握したうえで、論理的に分析する必要があります。この分析から、言語研究者自身の文法観をうかがい知ることができるといってもよいでしょう。
※本書に収録したテキストの一部の音声を、スマホアプリLingDyTalkを通じて聴くことができます。LingDyTalkはアジア・アフリカ言語文化研究所基幹研究「多言語・多文化共生に向けた循環型の言語研究体制の構築」(LingDy3プロジェクト)が開発した、数字認識機能を応用した音声再生アプリです。少数言語の貴重な音源をスマホを通じて気軽に楽しむことができるツールです。
詳細はプロジェクトサイト中の下記リンク先をご覧ください:
https://lingdy.aa-ken.jp/publications/tools-and-archives/3980


シリーズ記述文法1 南琉球宮古語伊良部島方言

book180403_2下地 理則 (著)
くろしお出版  
2018年4月刊行

内容の紹介:2009年にUNESCOから発表された消滅危機言語のリストのうち、日本で話されている言語は8つ含まれている。本書ではそのうちの1つ、南琉球諸語に属する宮古語の伊良部島方言について、音韻から品詞・形態・構文に至るまでを体系的に記述した文法書である。言語学者から見て興味の尽きないこの言語の体系を、その共時と通時に目を配りながら内的一貫性を持たせつつ説明していく。言語学の最も根本的な「言語を記述する」という営為の魅力をあますところなく伝えた、筆者の言語学者としての悪戦苦闘の記録。

著者のコメント:本シリーズの文法書は、執筆者みずからが現地調査に赴き、そこで得た一次資料をもとに研究し明らかにした文法体系をまとめた、いわゆる少数言語の記述文法書です。本シリーズの特徴は、これまでに十分には調査研究されてこなかった言語(方言)を対象としていること、対象言語の文法全体(音韻論を含む)を記述していること、信頼できる内容であり、専門性を高く保ちつつも、当該言語の専門家でない方にも理解できる記述となっていることです。(シリーズ記述文法編集委員会より)

※ 本書は、アジア・アフリカ言語文化研究所「多言語・多文化共生に向けた循環型の言語研究体制の構築」(LingDy3プロジェクト)が中心となり、記述文法書をシリーズとして出版することが企画され、同研究所にこのシリーズの編集委員会を置き,くろしお出版から『シリーズ記述文法』として刊行されることになったものです。


兵士というもの――ドイツ兵捕虜盗聴記録に見る戦争の心理

ゼンケ・ナイツェル、ハラルト・ヴェルツァー著、小野寺拓也訳
みすず書房 2018年4月刊行

内容の紹介: 盗聴された捕虜同士の赤裸々な会話という画期的史料を、歴史学と心理学で分析し各国に衝撃を与えた書。


祈り

book190509_10.jpgフリードリヒ・ハイラー著、丸山空大・宮嶋俊一訳
国書出刊行会 2018年3月刊行

内容の紹介:(出版社HPより:http://www.ajup-net.com/bd/isbn978-4-7664-2499-7.html
古今東西の資料を博捜して祈りを「類型化」したドイツ宗教学確立期の代表的作品であり、預言者的・神秘主義的という宗教の2類型を提示したことでも知られる。いち早く現象学的発想を取り入れた本書は世界各国語に翻訳され、祈りに関する研究で本書に言及しないものはないと言っていい。1918年の初版刊行から100年を迎えてなされた本邦訳により、ここにその全体像が明らかとなる。

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ニューエクスプレス アムハラ語

book180416_1.jpg

若狭基道
白水社  
2018年3月刊行

内容の紹介:エチオピアで共通語として広く話されているアムハラ語の入門書。

著者のコメント:アムハラ語の文法全体を扱ったものとして日本で初めての、一般書店に流通している音声教材付きの入門書です。伝統的な記述に囚われることなく、一見複雑な動詞の活用を整理してみました。従属節表現や動詞派生形も可能な限り割愛しておらず、実用的な作りになっています。小難しく無味乾燥な、読者を選ぶ本ではありません。偏見や思い込みを取り去って手にして戴ければ幸甚です。

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シベ語のモダリティの研究

book181102_1

児倉徳和
勉誠出版 2018年3月刊行

内容の紹介:中国・新疆ウイグル自治区で話されるシベ語は、いまなお話され続ける満洲語の一変種として知られる。シベの人々の頭の中で、情報や知識はどのように処理されているのか? シベ語は彼らの思考とどのように関わっているのか?
フィールドワークで出会った日常のやりとりを手掛かりに、日本人研究者がシベの人々の思考とシベ語の文法システムを探る、モダリティ研究への挑戦。
ことばのダイナミクスを存分に味わうことのできる一冊。

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変転する国際社会と国際法の機能(内田久司先生追悼)

柳原正治編
信山社 2018年3月刊行

内容の紹介: 国際社会の変動と根底にある地下水脈。 国際法のあり方を問う。信頼の執筆陣が集った追悼論文集。(第9章担当:石橋可奈美)


現代台湾の政治経済と中台関係

松田康博、清水麗編著
晃洋書房 2018年3月刊行

内容の紹介: 中国へ依存する台湾経済、膠着する中台関係。台湾の政治経済と日中台関係の実態に迫る。(第2章担当:小笠原欣幸)


深淵の沈黙

book190509_11.jpgファム・コン・ティエン著、野平宗弘訳
東京外国語大学出版会 2018年2月刊行

内容の紹介:(出版社HPより:http://www.tufs.ac.jp/blog/tufspub/
〈深淵〉に声を上げさせるため、すべての言語を叩き潰すのだ……

ベトナム戦争の混迷が続く1967年、26歳の若き詩人が放った思想闘争の書。

ハイデッガー思想との対話/対決を通じ、ベトナム戦争の窮極的原因を西洋形而上学と見定めた著者が、祖国の底に流れる東洋の叡智をもって、西洋近代が忘却してきた〈存在〉の覚醒を訴え、一切の思弁を破壊して、洋の東西を越えた人類共通の故郷たる〈深淵の沈黙〉への路を提示する――時代の閉塞に挑んだ、孤高の思想を初邦訳。


バスク地方の歴史ー先史時代から現代までー

book180403_2マヌエル・モンテロ(著)、萩尾生(訳)
明石書店(世界歴史叢書)  
2018年2月刊行

内容の紹介:(出版社HPより:http://www.akashi.co.jp/book/b353506.html
独自の言語と文化を有する欧州の異郷バスク地方の歴史を、スペイン領を中心に古代から現代までたどる通史。一度も領域国家をもつことのなかったバスク人の歴史を平易な記述と豊富な図版とともに解き明かす。スペインで最も版を重ねた入門書の決定版。

訳者のコメント:「バスク地方」の歴史叙述をめぐっては、「バスク地方」という空間領域の設定や、叙述に用いる言語の選択など、政治性がつねに付随します。本書の著者は、現代史、わけてもスペイン領バスク地方の近現代史を専門とする、バスク大学教授です。フランコ体制下の1955年に現バスク自治州の小漁村に生まれた著者は、バスク・ナショナリズムとは距離を置いた立場から、バスク語ではなくスペイン語を駆使して、スペイン領のバスク地方(ナバーラ地方を含む)の通史を、先史時代から現在まで活き活きと描写しています。


「大分岐」を超えて:アジアからみた19世紀論再考

book180619_2.jpg秋田茂(編)
ミネルヴァ書房  
2018年2月刊行

内容の紹介:近代アジアの経済発展をグローバルヒストリーの観点から再考し、ポメランツの「大分岐」論を相対化し、新たな世界史像を提示する。従来、欧米中心の近代世界システムに従属的に包摂されたとされるアジアを、南・東南・東アジアでの農業開発・工業化に着目しながら、相対的自立性という観点から再考する。18世紀の「大分岐」により19世紀が「ヨーロッパの世紀」になったとするポメランツ「大分岐」論を相対化し、20世紀後半の「東アジアの経済的再興」の起源を明らかにする。

東京外大教員執筆箇所:宮田敏之(大学院総合国際学研究院・国際社会学部・教授:タイ社会経済史・東南アジア経済研究)
「第9章 タイ米経済の発展と土地法――1901年土地法制定とその影響」


Asia and the History of the International Economy Essays in Memory of Peter Mathias

book180619_1A.J.H. Latham, Heita Kawakatsu(eds.)
Routledge  
2018年2月刊行

内容の紹介:This collection of essays sheds new light on many aspects of Asia’s integration with the international economy. H.I.H. Crown Prince Naruhito discusses the problems of controlling water in the interest of urban development. He first examines the problems encountered on the River Thames in relationship to the growth of London in the eighteenth century, and then relates his findings to Japan where similar problems arose with respect to the expansion of Edo (Tokyo).
Other chapters looking at the eighteenth century examine the development of plant collecting in Asia and the wider world in the interest of the economy and leisure, Japan’s connections with the outside world by way of the Dutch East India Company (VOC), and the Dutch acquisition of the knowledge of the Japanese language at their base at Dejima Island, Nagasaki. India features next with a chapter showing how India was crucial in initiating the industrial revolution in Britain, by stimulating British manufacturers to copy the fine textiles made by hand loom weavers there. This is followed by a chapter showing how in the late nineteenth century India was the central pivot in the entire international economic system, based on its trading surplus with China. Other discussions trace the role of Scotland as a centre of heavy industry and shipbuilding, with Scottish companies dominating the shipping lanes of Asia.
A further chapter shows how British connections with Asia, in this case Shanghai, brought problems of debt and non payment, and outlines the steps taken to try to control the situation. Elsewhere problems arose in Bangkok over the quality of rice being supplied to European merchants in the 1920s, leading to a decline in sales. Finally there is a discussion of Japanese commercial policy towards Africa in the inter-war period. This book will be of interest and use to students, researchers, and general readers interested in Asia’s role in world economic development.

東京外大教員執筆箇所:
宮田敏之(大学院総合国際学研究院・国際社会学部 教授:タイ社会経済史・東南アジア経済研究)
Toshiyuki Miyata, Chapter 11: “The Dispute over the Quality of Rice Exports from Siam to Europe in the 1920s”


現代ドイツにおける学校制度改革と学力問題
-進む学校の終日化と問い直される役割分担のあり方-

book180416_1.jpg布川あゆみ(著)
晃洋書房  
2018年2月刊行

内容の紹介:「学力向上」が叫ばれたにもかかわらず、ゆとりをつくりだすという学校制度改革になぜドイツは取り組むことになったのか。
戦後史・社会変動・教育を構成する枠組みから実証的に検討し、「PISAショック」を受けてのドイツにおける教育のあり方の変容を論じる。現代的な関心にこたえる1冊。

著者のコメント:本書は、移民の増加や学力低下が社会問題化したドイツ社会で、この社会「問題」に対して、教育的にどのように解決が図られようとしているのかという問題意識から出発しています。学術書ではありますが、できる限り読みやすいものとなるよう、検討を重ねました。写真も掲載しています。一度手に取っていただけたら、とてもうれしいです。


Japan on the Silk Road :Encounters and Perspectives of Politics and Culture in Eurasia

book181214_2
Selçuk Esenbel
Brill, 2018

内容の紹介:本書はグローバル・ヒストリーの観点から近代日本をとらえた論集で、とくにシルクロード、すなわち近代日本および日本人が関心を向けた中央ユーラシア地域に関わるテーマを扱っています。ここでいう中央ユーラシアとは地中海沿岸から東アジアにおよぶ広大な空間で、16篇の論稿は日本の外交や軍事戦略から日露戦争の影響、探検、建築、文学、学術研究など多彩なテーマに及んでいます。編者のセルジュク・エセンベル教授は長年にわたってトルコ(イスタンブル)のボアジチ大学を拠点に日本研究を牽引されてきた先生です。論集には日本外交史の研究で著名なイアン・ニッシュ先生をはじめ、世界各国の研究者が寄稿しています。この本をひもとけば、近代日本の知られざる側面を発見できることでしょう。

執筆者のコメント:小松久男(世界言語社会教育センター特別教授)
私は第6章のAbdurreshid Ibrahim and Japanese Approaches to Central Asia を書きました。主人公は帝政ロシア領内の西シベリアに生まれたイスラーム教徒のタタール人で、汎イスラーム主義のジャーナリストとして、まさにユーラシアを股にかけて活動した人物です。1909年に来日して詳細な日本旅行記を著し、1933年に再度来日して日本の対イスラーム政策に協力し、第二次世界大戦末期の1944年、東京に没しました。彼の墓は外語大に近い多磨墓地にあります。本書は個人で買うには高価ですが、幸いにして図書館に収められています。


欠測データ処理:Rによる単一代入法と多重代入法

book180403_2高橋 将宜・渡辺 美智子 (著)
共立出版  
2017年12月刊行

内容の紹介:一般的に社会科学で扱うデータは,調査・観測データであることが多く,無回答のために欠測が生じることが多い.欠測データは適切に処理しなければ,解析結果に偏りが生じることがある.多重代入法は,尤度解析法と並んで最も汎用的な欠測データ解析法であるが,これまでの書籍では理論的な解説が主で,実際の応用事例や具体的な手順の記述が少なかった。そのため,実証分析を行う社会科学者や実務者が多重代入法を実際に活用することにはハードルがあった。本書はワンポイントとして代入法を中心に解説している。平均値のt検定,重回帰分析,ロジスティック回帰分析,時系列分析,パネルデータ分析といった社会科学において頻繁に使用される分析手法に関して,データに欠測が生じている場合に,多重代入法を用いてどのように欠測データを処理していけばよいかを具体的に示している。

著者のコメント:本書は,多重代入法に特化した本邦初の書籍です。徹底して実際的な視点から執筆した統計学の書籍で,扱った手法のすべてについて,統計環境Rにおいて実データによる解析を行っています。また,解析に用いたデータとRコードも掲載しているので,読者は本書に示された手順を再現しながら,欠測データの解析法を学んでいくことができます。