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生まれ変わった博士前期課程、専攻長インタビュー

2016年4月、大学院総合国際学研究科・博士前期課程が、これまでの4専攻から「世界言語社会専攻」と「国際日本専攻」の2専攻に生まれ変わりました。

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東京外国語大学は、日本研究と日本語教育における長い歴史と豊富な実績があり、教員も充実しています。今回の改組は、この強みを最大限に生かした形で行われました。

各専攻の専攻長に、各専攻の特徴などをインタビューしました。

 

世界言語社会専攻

スクリーンショット 2016-02-09 5.58.11岩崎 務 世界言語社会専攻長

世界言語社会専攻が目指している人材とは?

世界諸地域の言語・文化・ 社会や国際社会を、複合的・総合的にとらえる視点から研究し、地球社会化時代にふさわしい多言語グロ ーバル人材を養成したいと考えています。

3つのコースがありますが、それぞれの特徴は?

「言語文化コース」「国際社会コース」「Peace and Conflict Studiesコース」の3つのコースからなります。

「言語文化コース」では、世界諸地域の言語・文化に関する専門的教育研究を行います。高度な言語知識と地域に関する総合的な視点を備えた人材を養成したいと考えています。

「国際社会コース」では、世界諸地域の社会、国際社会に関する専門的教育研究を行います。コーディネート力、コンフリクトへの耐性を備えた人材を養成したいと考えています。

「Peace and Conflict Studiesコース」は、10月入学で、教育はすべて英語で行われます。紛争を抱えた地域の諸大学とのネットワークを活用した平和構築・紛争予防教育研究を行います。国際社会で活躍し、平和構築に寄与する国際的リーダーを養成したいと考えています。

そのほかの特徴はなにかありますか?

3つのコースを越えたプログラムとして、本学アジア・アフリカ言語文化研究所教員によるアジア・アフリカ・フィールドサイエンス・プログラムを受講することができます。「フィールドサイエンス」とは、臨地調査(フィールドワーク)を理論的・実践的に高度化した研究手法です。この手法を用いて、アジア・アフリカの諸地域に分け入ります。そのほか、キャリア・プログラムとして、世界史の教員を目指す院生を支援する「世界史教育」、公務員試験を受験しようとする院生を支援する「国際行政入門」などの科目を設けています。

−世界言語社会専攻の学生に期待することは

多様な問題に対して、俯瞰的な視点によって物事を捉える総合力と具体的な実践力の両面を身につけてほしいと思います。

 

国際日本専攻

hayatsu早津 惠美子 国際日本専攻長

本専攻の設置目的は?

グローバル化の進展の中で必要とされる「日本発信力」を強化することを目的に設置されました。

なぜ外国語大学で日本の研究・教育を?

実は東京外国語大学には、海外からの留学生への日本語教育をはじめとして、広く日本・日本語の研究・教育における長い歴史と豊富な実績があります。

その成果を学外からも見えるようにして、ここで学びたいという学生を招き入れ、育成していきたいと考えています。

例えば言語に関して言えば、日本語は世界中にある6000を超える言語の1つにすぎません。英語とだけ比べて、日本語には冠詞がない、敬語が複雑だと言うのではなく、できるだけたくさんの言語を見わたして日本語の特徴(個別性)と、他の言語との思わぬ共通性(普遍性)を見つけ出すほうが楽しそうです。そういう視点から世界の諸言語と日本語を対等に捉えた研究・教育を行ってきたのが東京外大です。

〝比較〞と〝対照〞というのは、東京外大における研究・教育のキーワードではないかと思います。日本を知り、海外を知り、比較・対照していく。多様性に目を向けることで、直面する問題に性急に結論を出さず、落ち着いた分析ができるようになる。それは東京外大の最大の強みでもあります。

「国際日本コース」と「日本語教育リカレントコース」がありますが、それぞれのコースの特徴は?

国際日本コースの研究領域は、「日本語学研究」「日本語教育学研究」「日本語文学・文化研究」「日本社会研究」の4つで構成されています。しかしそれぞれが分立するのではなく、近接する形で研究・教育を行っていきます。

例えば、日本語の文法や文学を専攻したとしても、それが生まれた背景、それを育んできた環境としての日本の歴史や社会、またこれまでどういう教育法を実践してきたかなどを知ることで、理解の幅が広がります。4つの領域をまたがる形で研究することで、全体として日本への理解を深めることができます。

さらに、他の言語と日本語、他の文化と日本文化の比較研究をしたいという場合には、同時に設置される世界言語社会専攻の教授陣に指導を仰ぐこともできるようにし、単位の修得の面で柔軟に対応していきます。

−もう一つの「日本語教育リカレントコース」とは?

国際日本専攻でユニークなのが、「日本語教育リカレントコース」を設けていることです。海外で日本語教育に従事してきた経験者を対象にしたもので、1年で修了できるコースとなっています。

単なる教員養成プログラムではありません。これまで研究という視点で日本語に接する機会が少なかった方々に、あらためて日本と日本語について学んでもらい、スキルアップとともに、さらなる〝日本発信力〞強化につなげていただければと考えています。

−国際日本専攻で指導にあたる教員は?

2015年度に、これまで総合国際学研究院に属していた日本関係の教員と、留学生日本語教育センターなどの教員を結集して国際日本学研究院に再編しました。特に留学生日本語教育センターは、海外からの留学生への日本語教育に、半世紀近く携わってきた実績があり、その高度な研究・教育成果が国際日本専攻に大きく貢献すると期待されています。

これらの専任教員に加えて、アジア・アフリカ研究教育コンソーシアム(CAAS)加盟機関や国立国語研究所の研究者も国際日本専攻での教育に参加します。CAASは、フランス、オランダ、韓国、シンガポール、イギリス、アメリカにある大学の日本・日本語研究機関と東京外大で構成されたコンソーシアムです。これまでは研究交流がメインでしたが、今後は教員として半年〜1年間来日し、講義や論文指導などにあたります。

−キャリア支援については?

学生に対しては、日本語教育実践プログラム、多文化コーディネーター養成プログラムといった実践力をつけるための新たなキャリアプログラムも用意しています。また、世界各地の協定校などでの教育実習も用意していますし、協定校に設置する日本・日本語教育の拠点「Global Japan Office」での教育実践にもつなげていけるようにしたいと考えています。

−国際日本専攻の学生に期待することは?

海外からの留学生と日本人学生が相互に刺激し合い、個別性と普遍性を尊重しながら学べる環境を、学生と教員との協働によってつくりだしていけたらいいなと考えています。学部時代に他言語・他文化を学んでいた学生でも、日本について改めて学ぶことで研究の幅がさらに広がるはずです。日本と日本語についての良質な教養をぜひ身につけて、ひとりひとりの〝日本発信力〞を強化してほしいと思います。