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世界の日本研究者から学ぶ日本

2017.4.5公開

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東京外国語大学では、国内の大学の日本研究にみられる分野を軸としたアプローチと、国外の研究者による学際的かつ比較研究的なアプローチとを連動させることで、日本研究の新たな地平を拓く取り組みを行っています。

そして、グローバルな視座から学際的・国境横断的な日本研究に取り組むことのできる授業科目を開講しています。2017年度も世界各地から招聘する日本研究者(CAASユニット教員*)による授業科目を多数開講します!

2017年度に開講するのは、大学院博士前期課程国際日本専攻の科目(「Japan Studies」)と、言語文化学部の科目(「日本文化研究」)、そして学部世界教養プログラム(「文化のおもしろさ」)です。

大学院の科目は、本学の大学院生はもちろん、単位互換制度による他大学の大学院生も履修できます。また言語文化学部の科目は、本学の学部学生(交換留学生、外国人研究生を含む)で、日本研究に関心があり、授業に積極的に取り組もうとする学生であればどなたでも受講できます。

各授業で使用される言語は英語ですが、リーディング資料や授業内のディスカッションは英語と日本語どちらも可です。

今回のTUFS Today では、CAAS教員による授業を紹介します!

*CAASユニット教員: 本学国際日本学研究院は、本学が加盟する「アジア・アフリカ研究教育コンソーシアム(Consortium for Asian and African Studies:CAAS)」のうち6つの研究教育機関〔INALCO(フランス)、ライデン大学(オランダ)、韓国外国語大学校(韓国)、シンガポール国立大学人文社会科学部(シンガポール)、ロンドン大学SOAS(英国)、コロンビア大学(米国)〕から、毎年複数の日本研究者をユニット招聘して協働研究を行っています。そして、招聘した研究者は「CAASユニット教員」として教育にも携わっています。

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今年度招聘のCAASユニット教員をご紹介!

まずは、今年度東京外大に招聘し、授業を担当していただくCAASユニット教員を紹介します。

caasresearcher-02 タイモン・スクリーチ先生
Dr. Timon Screech
ロンドン大学SOAS
日本近代文化・美術史
[担当:大学院 Japan Studies 科目】
・江戸時代芸術の紹介(春学期・月6)
・江戸時代の芸術(夏学期・7/18-21)
caasresearcher-01 クリストファー・ガータイス先生
Dr. Christopher Gerteis
ロンドン大学SOAS
日本近現代史
[担当:大学院 Japan Studies 科目】
・近現代日本:略史(春学期・火3)
[担当:言語文化学部 日本文化研究 A】
・Contemporary Japan (春学期・火4)
caasresearcher-03 イリス・ハウカンプ先生
Dr. Iris Haukamp
ロンドン大学SOAS
映画論
[担当:大学院 Japan Studies 科目】
・概説:映画と社会問題(春学期・木3)
・映画分析(夏学期・7/24-28)
・映画と歴史:表象の政治/政治の表象(秋学期・木2)
[担当:言語文化学部 日本文化研究 AB】
・Japan Film and Social Issues(春学期・木4)
・Film and Social Issues(秋学期・木4)
[担当:学部世界教養プログラム 文化のおもしろさ】
・Topics in Japanese Wartime Film and Society(春学期・水5)
・Topics in Film Analysis: An Introduction to Film Analysis(秋学期・水5)
文明載先生
韓国外国語大学校日本語大学
日本論説文学
[担当:大学院 Japan Studies 科目】
・韓日説話文学論(夏学期・7/10-14)
・韓日説話文学に現れた思想(秋学期・水4)
タカ・オシキリ先生
Dr. Taka Oshikiri
ロンドン大学SOAS
日本史
[担当:大学院 Japan Studies 科目】
・明治日本の社会と文化(夏学期・7/31-8/4)
ベルナール・トマン先生
Dr.Bernard Thomann
INALCO(仏国立東洋言語文化大学)
日本近代社会史
[担当:大学院 Japan Studies 科目】
・日本の福祉国家誕生(秋学期・月3)

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大学院 Japan Studies 科目で開講される授業を紹介します!
(学部生で、受講希望の方は下記の問い合わせ先に連絡ください。)

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 江戸時代芸術の紹介

担当教員:タイモン・スクリーチ(ロンドン大学SOAS)

月・6限(初回:4月10日)、研究講義棟 104教室

このセミナーでは、絵画、版画、彫刻、工芸美術など江戸時代の芸術全般を概観する。江戸美術史の標準的な領域である都市計画や庭園といった分析空間をこえて、作品の発注・委託、製作、展示といった背景をとりあげ、芸術がいかに機能していたのかを考察する。また、学派や様式のような、よく知られた論点についても検討していく。

従来、江戸芸術は二通りの仕方で誤解されてきた。第一の誤解は、エリート芸術が軽視され大衆芸術が台頭したというものであり、第二の誤解は、世俗芸術が仏教芸術にとってかわったというものである。授業ではこれらの論点に取り組み、江戸美術史がいかに構築されてきたのかを考察し、その再考の可能性をさぐる。

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近現代日本:略史

担当教員:クリストファー・ガータイス(ロンドン大学SOAS)

火・3限(初回:4月11日)、アゴラ・グローバル3FCAASユニット2

1945年以降の日本の社会および政治経済の発展を概説する。1980年代以来の学術的風潮として、日本はわずか四島の人々と(諸)文化のみを包摂する同質的、親資本主義的、そして男性的なネーションとして描き出されてきたが、本研究はそうした風潮に抗するものである。日本とは垂直統合された市場・金融システムと結託した介入主義的国家によって先導されたネーションであるという認識を乗り越えることを目的とし、いくつかの論文を手がかりに、講義と議論をまじえながら、民族性、社会階級、労働、ジェンダーといった分析的枠組みを通して日本近現代史を検討する。現代日本の歴史的起源を共に探ってみよう。

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概説:映画と社会問題

担当教員:イリス・ハウカンプ(ロンドン大学SOAS)

木・3限(初回:4月6日)、研究講義棟217マルチメディア室

本セミナーは、フィルム・スタディーズの視点から、日本社会史におけるメディアと社会の相互作用を検討する。文化的表現とは、社会の内部で創造され、社会のなかへ流通していくものである。したがって文化的表現と社会は密接に関連している。それゆえ、映画的実践を「近代化と近代性の経験のための感覚的=再帰的地平」(2000年)であると述べるミリアム・ハンセンの主張は、特定の時間枠をこえて拡張できる。「空想、不確実性、不安を分節化するマトリックス」たる映画には、社会問題を深く掘り下げることのできる可能性がそなわっている。社会が自身や他者をめぐって産出したイメージを見ることで、社会について多くを学ぶことができるのである。ただし、しかるべくイメージを考察し、見出されたものを解釈するためには、方法と実践がともに必要である。映画の緻密な分析と、産業的、社会的、政治的な背景への文脈化をつうじて社会問題を検討する。それゆえ本セミナーは、日本の歴史や社会をめぐる他の講義と連動するものとして受講するのが有益である。本セミナーは約六回のまとまりに分かれ、それぞれのまとまりは映画上映、学生主体の発表、そしてそれに基づく討論からなる。

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韓日説話文学論

担当教員:文明載(韓国外国語大学校)

夏学期・集中、7月10日〜14日

韓国と日本の代表的な説話文学作品を中心に、その成立背景と内容を比較文学の観点から、説話文学の特徴や文化の異同について考えてみる。韓国の『三国遺事』と日本の『今昔物語集』を主たるテキストとし、両書の成立と構成、内容の特徴を理解させる。そのために、両書から抜粋した説話を読解しながら、説話文学の特徴、歴史文化の背景などについての説明をおこない、説話による文化の理解を深めていけるようにする。

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江戸時代の芸術

担当教員:タイモン・スクリーチ(ロンドン大学SOAS)

夏学期・集中、7月18日~21日

江戸時代(1603年~1868年)という日本史上の約250年間を考察する。江戸時代は大変動と壮大な創造性がもたらされた時代である。その達成の真価を「視覚文化」という幅広い文脈のなかで見極めてみたい。視覚文化とは、私たちが自分の周りで経験的に見ているもの(私たちが「現実」と呼んでいる事物)と、それらの事物を表象するのに用いられる形式との両方から成っている。表象がむしろ現実を創造するのであり、その逆ではないとの主張もあるだろうが、見られた事物と創造された事物からなるこの織物は、一時代の視覚性(visuality)へと帰することができる。明らかに、視覚文化が対象とする領域は、たんなる絵画的・芸術的な様式よりも広範である。江戸時代前半には、表象の古典的形式が崩壊してもはや通用しなくなり、後半になると近代性が称揚された。このように、江戸時代とは視覚性における急激な移行が生じた時代なのである。

本授業ではむろん著名な画家たちの作品をとりあげるが、美術史において通常用いられる資料のほかにも、科学文献のイラストレーション、都市計画図、地図、社会的分布図、宗教画等をあつかう。

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映画分析

担当教員:イリス・ハウカンプ(ロンドン大学SOAS)

夏学期・集中、7月24日〜28日

映画分析を深く探求する短期集中講義である。限られた時間のなかで、学生個々人の学術的関心やこれまでの経験が最大限活用されるだろう。ほんの数例を挙げれば、歴史ドキュメンタリーをとりあげ、主に政治的・歴史的なアプローチをとるのか、あるいは大ヒット作を特定の社会問題をとおして文脈化するのかといったことを決定するのは学生自身である。教員は作業の全過程をつうじて学生をサポートするが、学生は各自、研究課題を提起し、自主的に研究プロジェクトの計画を立てるようにする。本集中講義は各日3コマ、計5日間おこなわれる。映画分析の技法は教員が手ほどきをするが、本講義は実践的なアプローチに重点をおくため、学生たちは、自身の研究調査から必要な概念が生じてくれば、教員のサポートのもとでそれに取り組む。

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明治日本の社会と文化

担当教員:タカ・オシキリ(ロンドン大学SOAS)

夏学期・集中、7月31日〜8月4日

近代日本の社会文化を批判的に理解するための講義である。重点的に考察されるのは、近代化と産業化の様式、さらには明治天皇治世下で生じた重大な変化に対する伝統の継続的な関連性についてである。各日90分講義を2コマ、その後90分(1コマ)のディスカッションを設ける予定である。第1日目:徳川社会、第2日目:明治初期の政治文化、第3日目:明治日本におけるジェンダー、第4日目:明治文化とノスタルジア、第5日目:発表&要約 ディスカッション

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日本の福祉国家誕生(1868年~1918年)

担当教員:ベルナール・トマン(INALCO)

月・3限(初回:10月2日)、研究講義棟211教室

本セミナーの目的は、日本の社会国家をめぐる伝統的な史学史を断ち切ることである。従来の史学史は、第二次世界大戦までの日本システムを、欧米諸国に比しておよそ後進的なものとみなし、1945年になって真に政治的、社会的な市民権が確立されるにいたるという描き方をしてきた。私たちの試みは、逆の立場から以下を示すことである。つまり、国家形成のプロセスは第二次世界大戦の終結以前からすでに始まっており、日本は社会制度の漸次的変革という国際的な動向のうちにはるか以前から組み込まれていたということである。この変革の時代に、知識を創出し、普及させ、諸改革に影響をあたえたのは、官僚、医者、ジャーナリスト、労働組合、そして市民社会の専門家といった「社会改革派たちの星雲」であるが、分析すべきは彼らの論争やためらいである。また、社会衛生政策を整備する過程に、積極的に参与した市民社会の役割についても再検討する。明らかにされる必要があるのは、人口統治の昂進と日常生活の諸局面の標準化をのぞむ動向が、専門家たちによって生み出された国家的生権力の強化という事態の一部だということである。そして同時に解明すべきは、労働組合運動や1919年から1938年にかけて日本が重要なメンバーであった国際労働機関(ILO)がそうした事態に異議を唱えたいきさつである。授業内使用言語は英語だが、質疑応答は日本語も可。

韓日説話文学に現われた思想

担当教員:文明載(韓国外国語大学校)

水・4限(初回:10月4日)、研究講義棟207教室

説話文学の中には文学的な特徴のほかに、説話生成当時の時代的背景が潜まれている。この授業では説話や古典を読解した上で、その中に描かれている宗教、情緒、考え方などについて分析してみることにする。とりわけ、韓日の仏教思想、儒教の孝意識、家の意識など、民衆の生活と密接であった精神世界を比較してみることにより、古典文学による文化の理解という方法論を試してみることができると思われる。主に日本の『今昔物語集』を主たるテキストとし、必要に応じて日本の他の古典文学作品や韓国の『三国遺事』、『三国史記』も取り上げて、その内容の読解と分析を通じて両国(あるいは東アジア三国)の思想を比較してみ、当時の人々の精神世界を理解する手掛かりとする。授業内使用言語は日本語

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映画と歴史:表象の政治/政治の表象

担当教員:イリス・ハウカンプ(ロンドン大学SOAS)

木・2限(初回:10月5日)、研究講義棟219教室

本講義で取り上げる文化的生産物というものは、それが生み出された時代のきわめて社会的な欲望、恐怖、願望、そしてもちろんイデオロギーを反映しており、その反映において当の時代を垣間見させてくれる特権的存在である。本質的に協働的な視聴覚メディアであるテクストとしての映画が含みもつ多種多様な情報すなわち「データ」は、映画が企画、製作、配給、上映された時代についてより深く理解するための分析素材とすることができる。こうした包括的かつ「ディープ」な映画史的分析をおこなうには、様々な角度から作品へとアプローチする方法が必要となる。そのため、学期全体をつうじてこの作業にとりくむが、とりわけ木下惠介の戦時中の作品『陸軍』(1944年)の徹底的な分析を試みる。この映画を様々な視点から考察することで、徐々にこの映画プロジェクトについての私たち独自の語りを構築していく。最終的には、この映画と時代背景との徹底的な調査へといたる。また、その時代が今日いかに記憶されているのかを問い、一次資料から得られた私たちの印象と比較検討することにもなるだろう。

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お問い合わせ先

東京外国語大学 大学院国際日本学研究院

「国際日本学研究プログラム」CAASユニットコンヴィーナー

Dr.イリス・ハウカンプ

i.haukamp77[at]tufs.ac.jp([at]を@に変えて送信ください)