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東京外大大学院 英語教育学&英語通訳翻訳実践

2016.5.18公開

東京外大の大学院は、英語教育学や、英語通訳翻訳実践に関する教育の、日本の拠点のひとつです。

平成26年度まで、大学院総合国際学研究科に言語応用専攻・英語教育学専修コース、国際コミュニケーション・通訳専修コースとして「目立っていた」両プログラムですが、現在(平成27年度から)は、大学院総合国際学研究科世界言語社会専攻の一部となっています。

名称の上では、ちょっと目立たなくなった両プログラムですが、内容はますます充実しています。スタッフも、学生も、意欲満々!今回のTUFS Today では、本学大学院の英語教育学プログラムと、英語通訳翻訳実践プログラムをご紹介します。


英語教育学プログラム

 

英語教育学を担当する根岸雅史先生(大学院総合国際学研究院)に本学大学院での英語教育学の指導について伺いました。

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——本学の博士前期課程の英語教育学プログラムの特徴はどんなところにあるのでしょう?

本学の博士前期課程の英語教育学プログラムの特徴は、英語教育学を分野に関わる様々な学問領域とともに学ぶことができる点です。英語教育学は学際的な研究分野で、その下位分野や隣接分野は多岐にわたりますが、本学ではそうした諸分野についても充実したカリキュラムが提供され、複数の専任教員による連携・協力した指導体制が実現されています。

——具体的にどのような授業が開講されていますか?

_T5_8000本学では、(語彙指導、文法指導、タスク活動などを中心とする)英語教授法、小学校英語などの言語指導に関する分野、リサーチ・デザインや統計学などの研究方法に関する分野の他、言語テスト研究、CEFR研究を含む言語能力評価研究、コーパス言語学、第二言語習得などの分野が、専任による授業として開講されています。これ以外にも、言語学、英語学、音声学、心理学などの英語教育に関連する分野も専任による授業が開講されています。また、非常勤の先生方による授業では、リーディング論、ライティング論、リスニング論、スピーキング論、英語授業学、教材論などが開講されています。

——アピールポイントをお願いします。

これらの授業は、先端的な教育・研究を行っている教員により開講されているというのも大きな特徴でしょう。また、学内では、日本のみならず、世界でも注目されるような英語教育学研究が進められており、学生は早くからこうした研究に触れ、参加する機会が与えられています。こうした先進的な教育の成果として、日本の英語教育界をリードするような中高の英語教員のみならず、国内外の大学の研究者、出版社やテスト教材開発機関で活躍する人材などを数多く輩出しています。

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続いて、本学で英語教育学を学んだ大学院修了生2名にインタビューしました


井上千尋さん(2006年博士前期課程修了)

DSCN7805 一番左が井上さん

—-まずは自己紹介をお願いします。

現在、英国ベッドフォードシャー大学 Centre for Research in English Language Learning and Assessmentで講師を務めています。英検、IELTS、ケンブリッジ英検、Aptisなど数多くの英語テストの研究開発プロジェクトに携わっています。また、2014年よりJapan Times ST新聞に隔週で『英語なるほどQ&A』のコラムを執筆しています。東京外大には、学部4年、大学院博士前期課程2年、そして博士後期課程の1年と、通算7年以上お世話になりました。学部時代に教職と言語学関連の授業をたくさん履修しましたが、その中でも言語テスト論に出会ってからその面白さに魅せられ、大学院進学を決めました。今の私の研究者としての土台は、博士前期課程で学んだことが多くを占めていると思います。

—-本学大学院時代はどうでしたか?DSCN7807

博士前期課程ではゼミ形式の授業が多く、専門書や論文を読んで議論し、エッセイを書くことで論理的思考力が鍛えられ、またさまざまな視点からものを検討することの重要さを教わりました。学生層も幅広く、現職の先生や社会人入学の学生も多かったので、授業はそれぞれの考えや経験談をシェアする貴重な場でした。修士論文を書くにあたって、根本のアイデアからそれをどう調べるかという方法論まで、指導教員の先生だけでなく関連分野や統計の先生方にもたくさん相談しました。それぞれの分野の第一線で活躍されていながら、学生の指導も熱心にしてくださる先生ばかりです。まさに「こういう大学の先生になれるように頑張ろう」と思わせる指導を受けられたことは、現在の仕事にも大いに通じる財産であったと思っています。


村上明さん(2009年博士前期課程修了)

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—-まずは自己紹介をお願いします。

現在、ケンブリッジ大学理論・応用言語学科でリサーチアソシエイトとして研究を続けています。本学で学んだ後にケンブリッジ大学理論・応用言語学科に進学しました。

—-本学大学院時代はどうでしたか?

私にとって、東京外国語大学大学院の英語教育学専修コースの長所は、英語教育に関係する授業が幅広く開講されていたことと、他コースの授業も比較的自由に聴講が可能であったことです。そのため、在学中に、英語教育の中心的な領域である第二言語習得論や言語テスト論、語彙指導などの分野のみならず、コーパス言語学や自然言語処理、言語統計といった、様々な関連領域・近接領域についても学ぶことができました。私の研究は、大規模言語データから自然言語処理技術などを用いて情報を抽出し、それを統計学や機械学習の手法を用いて分析することにより、第二言語習得研究を始めとする言語研究に貢献することを目的としていますが、このような文理融合型の研究に必要な知識・技術を得ることができたのは、同コースならではだと思います 。またその結果、世界各国の大学の言語学科はもとより、教育学科、心理学科、認知科学科などでも関連する職があり、キャリア上も豊富な選択肢があったと感じています。英語教育というといわゆる文系の印象が強いかもしれないが、私のように学際的領域での素養を身につけることも可能であると考えています。


 

英語通訳翻訳実践プログラム

 

英語通訳翻訳実践プログラムを担当する鶴田知佳子先生(大学院総合国際学研究院)に本学大学院での通訳・翻訳の指導について伺いました。

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——本学の博士前期課程の英語通訳翻訳プログラムの特徴はどんなところにあるのでしょうか?

大学院において通訳・翻訳を学ぶことの大きな特徴は、2年間において理論と実践の両方をバランスよく行う点にあります。

——具体的に、2年間のプログラムを教えてください。

_T5_9590修士1年の学びの中心は通訳理論と逐次通訳です。修士1年においては逐次通訳の完成を目指してスキルの習得に務める一方、修士論文もしくは修士研究(用語集編纂・日英翻訳)を仕上げるために特に自分が興味をもったテーマで何らかの貢献ができるテーマを追求し続けます。1月末の構想発表会でテーマを発表します。一方で逐次通訳スキルについては、2年生の論文発表会を逐次通訳するのが、公の場で通訳を行う機会となります。2年では、同時通訳の授業と実習を運営する授業を受けつつ、論文の完成をめざします。2年の春学期に中間発表会を経て、12月初めに仮提出し指導を受けて1月に本提出、2月の論文審査を経たあとで論文発表会を行います。

——そうして理論と実践の両方をバランス良く学んでいくのですね!

はい、2年間を通じて実践のための「通訳実務」の授業も設けられており、日本通訳翻訳学会に積極的に参加して発表の機会をもつことも奨励されております。通訳・翻訳の真髄は起点言語で語られている内容を理解し、目標言語において的確にわかりやすく表現することにある、それは理論と実践の両方において貫かれている基本となっています。

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  1. 続いて、本学で英語通訳・翻訳を学んだ大学院修了生3名にインタビューしました

平賀陽子さん(大学院博士前期課程修了)

08_写真2(出張先にて)

—-まずは自己紹介をお願いします。

「英語を使う仕事」といっても様々ですが、私が就いた職では、まさに通訳コースで学んだ通訳・翻訳スキルを使って仕事をしています。通訳業務では、各種会議や高官への表敬訪問時に主として日英通訳を担当し、また出張に同行し各国政府高官や専門家との意見交換の場で通訳を務める機会も得ました。資料等の翻訳依頼もあります。防衛・安全保障分野の翻訳は一筋縄ではいきませんが、だからこそ学生時代から取り組んできたように「いかに伝えるか」を考えることにやりがいを感じています。

—-本学大学院時代はどうでしたか?

08_写真1(防衛省提供)

写真:防衛省提供

 

大学院での通訳訓練なくして、こうした貴重な機会に恵まれることはなかったと思います。気持ちの持ち方から通訳準備の仕方に至るまで、クラスメイトと共に励んだ練習や、先生方からの様々なアドバイスに助けられ、実務で活かせることを大学院で学ぶことがいかに有利であるかを日々実感しています。通訳コースで得たものは、学生時代には想像できなかったほど有意義なものとなり、スキルを活かせる仕事環境へと導いてくれました。修了後のキャリアに直結して役立つという点は、本学で通訳・翻訳訓練を受けることが魅力的である所以だと思います。


石本洋晃さん(大学院博士前期課程修了)

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—-まずは自己紹介をお願いします。

本学の国際コミュニケーション・通訳専修コースを修了後、三菱東京・UFJ銀行に勤務しています。3年弱におよぶシンガポールでの勤務を経て、現在、私は銀行のグローバル戦略を企画・立案・遂行する部署にいます。

—-本学大学院時代はどうでしたか?

08_石本さん02私は通訳・翻訳を中心に勉強しながら、より高度な国際コミュニケーション能力を身に着けたいと考え、国際コミュニケーション・通訳専修コースに在籍していました。素晴らしい先生方・仲間に囲まれ、沢山のことを教えて頂きましたが、言葉が持つ力、その可能性に気付くことができたことが、本学で得た最も大切なことです。言葉をプロフェッショナルなレベルまで追求して勉強するということは純粋な言語学習にはとどまりません。言葉を通してその背景について学ぶ。話し相手の文化、思考にまで気を配り、相手の真意を理解する為に集中する。自分の伝えたいことを伝えられるよう真剣に考える。言葉は自分と外の世界を繋げてくれる何よりのきっかけになると、私は信じています。

手探りで飛び込んだシンガポールで沢山の仲間と信頼関係を構築できたのも、現在の部署で今後の当行の戦略や業務方針を大きく変えるような難易度の高い施策を推進するチームにいることも、「言葉」がきっかけとなって開いた私にとっての新しい世界です。


江原 健さん(大学院博士前期課程修了)

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—-まずは自己紹介をお願いします。

本学の通訳コースを修了し、現在はフリーランスの翻訳者として、企業のウェブサイトやプレスリリース、ソフトウェア、書籍などを中心に翻訳しています。

—-本学大学院時代はどうでしたか?

大学院での通訳の経験は、今の翻訳の仕事にも大いに生きていると思います。特に大きな糧になっているのは、学内の講演会を通訳した経験です。こうした「実習」の機会は年に数回ありました。実習では、ビジネス、金融、文学といったさまざまなテーマの講演を通訳し、実際に聴衆の反応を目で見て、肌で感じることができます。さらに実習後には、録音した自分の通訳を文字に起こし、反省点をまとめます。ただ黙々と通訳するのではなく、こうして実際に講演の要点を理解できたか、そして聴衆に伝えられたかを繰り返し体験し、考えたことで、通訳の技術が鍛えられました。

—-お仕事に活かされているのですね!

この経験が翻訳の仕事に生きています。翻訳は文字情報しかないので、どうしても一字一句を訳すことに囚われて、無機質な訳になってしまうことがあります。そんなときに通訳のつもりで読み、書き手の主張は何だろうか、これがスピーチだとしたらどこを強調するだろうか、この文章で明確にメッセージが伝わるだろうか、などを考えながらやると、文章を立体的に理解できて、納得のいく仕上がりになります。こうして通訳の考え方を取り入れながら翻訳をしていることが、新しい仕事につながっているのではないかと思っています。