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東京外大の語劇、町へ、世界へ

2015.1.26 公開

毎年秋の外語祭の名物は、ご存じ「語劇」です。27の専攻言語での演劇が上演されます。その完成度をみると、府中キャンパスでの1回の上演だけではもったいないと感じる方も多いでしょう。そんな声を背に、昨年12月、2つの語劇が府中キャンパスを飛び出しました。ひとつは、ビルマ語劇の現地ミャンマーでの上演。もうひとつは、ブラジル人人口の多い群馬県大泉町でのポルトガル語劇の上演です。いずれも精一杯の演技で、語劇を通じた社会国際貢献を実現しました。今回のTUFS Today ではその様子を報告します。

ビルマ語劇 in ヤンゴン

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ビルマ語劇の現地ミャンマー(ビルマ)での上演は、在ミャンマー日本大使館が主催する「日本語劇コンテスト」のゲストとして、本学でビルマ語を学ぶ2年生全員が招待されたことにより実現しました。2年生8人は12月21日から12月28日の間、ミャンマー連邦共和国ヤンゴン市を訪問し、日本とミャンマーの外交関係樹立60周年を記念して12月27日に開催された日本語劇コンテストで、特別公演を行いました。

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14 photo:Ikuma YAMASAKI

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巧なビルマ語とコミカルな演技に、会場は笑いに包まれ、やんやの大喝采。上演は大成功でした。また、それに先立ち、本学学生らは、日本語劇コンテストの予選を通過し最終選考の残った6団体の本番前練習に参加し、日本語や日本文化を教える交流活動を行いました。 ミャンマーで日本語を学ぶ人々との間に、強い絆を築くことができました。

kawai 河田祥吾さん(言語文化学部ビルマ語2年)

今世界には70億人の人がいます。でも、1人に1秒しか会わないとしても70億人全員に会おうと思ったら220年かかります。今回の出会い・体験に感謝します。

hisasi 久宗美里さん(言語文化学部ビルマ語2年)

今回のミャンマーでの語劇公演を通して、ミャンマー人と日本人の感性の違いをはっきり目にしたように思います。私たちの劇を観た際の全体的な反応が日本とは異なっていました。一概には言えませんが、国それぞれでツボにはまることが違うのは面白いと思いました。

simazaki  島崎千秋さん(言語文化学部ビルマ語2年)

今回はミャンマーで実際に語劇を披露し、日本語を学ぶ同世代のビルマ人と交流もでき、たいへん貴重な経験でした。 私たちの劇は日本のお話をアレンジしたものだったのでどのような反応がかえってくるか少し不安でしたが、観客の方々がたくさん笑ってくれたので、楽しんでもらえたかなと思っています。

matoba  的場彩織さん(国社会学部ビルマ語2年)

多くのミャンマー人が大きな笑い声をあげながら見てくれたので、私たちも楽しみながら演じることができました。言葉が通じることの喜びを改めて感じました。

ポルトガル語劇 in 群馬県大泉町

さて、もう一つの学外公演は、ポルトガル語劇の群馬県邑楽郡大泉町での公演です。

ふつうならば外語祭の語劇上演が終われば、2年生は、一気に解放感に包まれるところですが、今年のポルトガル語専攻2年生は違いました。外語祭後も緊張が続き、厳しい練習が終わることはありませんでした。というのも、外語祭の2週間後に、群馬県邑楽郡大泉町での公演を控えていたからです。

大泉町は、人口の1割に相当するブラジル人コミュニティを抱える町。観てもらうのは、そこに住むブラジル人です。ポルトガル語を母語とする人たちに向けての上演となれば、外語祭のときとは違う緊張感があります。ブラジル出身のエリゼウ・ピシテリ特任教授の指導はいっそう厳しくなり、指示の言葉にも熱がこもりました。

いよいよ当日の12月6日(土)――朝、9時に全員でバスに乗って大学を後にし、会場の大泉文化むらに向かいました。演目は20世紀のブラジル演劇の名喜劇『聖母のおとりなし(Auto da Compadecida)』。貧しくずるがしこい男性と臆病者の二人組が人をだましたりお金をくすねたりしながら生き、ある日、その一人が殺されてしまうのですが、最後は審判で、聖母マリアのとりなしによってゆるされる話です。お金を前にするとだれもが欲深くなり、弱者が権力者のそこにつけこんで言葉巧みにだますさまが見どころです。でも、実は二人がだまして権力者から奪った金は最後に聖母マリアのところへちゃっかり行ってしまうのです。ブラジルの演劇や文学には、そんな人間的な神や聖母や聖人がよく出てきます。

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観客席のほとんどがブラジル人で、多くの親子づれが観にきてくれました。字幕によるタイムラグなしに、せりふに直に反応しリアルタイムで笑ってくれる観客に、学生たちは大熱演。最初は堅かった演技もみるみるうちに自然で生き生きとし、結果的に外語祭のとき以上の演技を披露しました。上演後は、多くのブラジル人の観客たちが舞台に駆け寄ってきてくれました。

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今回の大泉公演は、在日東京ブラジル総領事館による支援をえて実現しました。当日は、ブラジル総領事館のレオナルド・コラーレス副領事およびロベルト・テシマ氏の出席もかけつけてくださいました。

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今回の大泉公演には、もうひとつ目的がありました。それは日本国内のブラジル人集住地区を訪れることです。大泉町にはポルトガル語の看板や、公共の場所でのポルトガル語表記の案内も多く、見るからにブラジル人客を対象とする食品店、洋品店、美容や健康関連施設が街のあちこちにありました。まさに多言語・多文化化する日本社会の典型です。上演終了後に、ブラジルの物産に特化したスーパーマーケットに寄り、併設のブラジル料理店で、ブラジル名物のシュハスコを堪能しながらようやく本当の打ち上げを祝いました。では、演じた皆さんの声を聞いてみましょう。

yoshimoto 吉中輝さん(言語文化学部ポルトガル語2年、語劇代表)

ポルトガル語を母語とする、日系を含むブラジル人の方に私たちの語劇を見ていただける機会を持てたことは、私たちの語学生活に大きなプラスとなったと考えています。終演後、「ちょっとわかりにくいところもあった」と(日本語で)率直な感想を頂けたのも、プラスの経験と捉えて、これからも頑張っていきたいと思います。このような機会が他の語科にもあるべきだと考えていますし、来年のポルトガル語科にも引き継いでもらいたいです。

morohoshi 諸星健太さん(国際社会学部ラテンアメリカ地域2年)

主要な役をもらった語劇を無事に終えられてほっとしています。外語祭当日と群馬県大泉市での公演では自分自身とても楽しんで演じることができ、特に大泉市での講演でネイティブの観客の方が自分のセリフを聞いて笑ってくれたのはとてもうれしかったです。講演までの練習や準備は大変だったけれどとても貴重な体験になりました。

sato 佐藤陽太朗さん(国際社会学部ラテンアメリカ地域2年)

初めは、舞台経験のない僕ら がネイティブの人の前で演技し、通じるのかとても不安でした。しかしいざやってみると、会場の雰囲気はとても明るく外語祭の時よりも楽しんで演技すること ができ、公演後には何人もの現地の人から「とても素晴らしい公演だったよ」と言われ何ヶ月もの練習をやってきて良かったと改めて思いました。みんなで最高 の劇を作りあげる事が出来て本当に良かったです。